倉園梨花
ゆうに〜!こっちこっち〜!!!
もはや番組撮影だということを忘れたようにはしゃぐ梨花。
もちろん、オンエア前に編集で不適切なセリフはカットする。多くの熱狂的ファンを抱えるタレントの梨花が、番組ディレクターにご熱心なのを知られるわけにはいかない。
梨花と徳山がいちゃつく姿を見るのは気に入らないが、梨花が俺を見てないのは仕事(盗撮)をするには好都合だ。
徳山が演出の指示を出してる今がチャンスだ。
植草は、梨花の背後にそっと忍び寄り、隠しカメラを梨花のワンピースの下に素早く差し込む。
植草まさし
(今日こそ生パンを履いてますように)
倉園梨花
きゃっ!
背後に近づいた植草に気づいた梨花が声を上げる。
倉園梨花
もう〜びっくりしたな〜!いきなり後ろから近づかないでよ!
徳山雄司
植草さん。どうしたんですか?
植草まさし
いや〜音声マイクの調子が悪かったので、位置を調整させてもらおうと……すみません、打ち合わせの邪魔にならないようにと思って
倉園梨花
嘘!どうせまた、梨花の匂いを嗅ぎにきたんでしょ!もう〜本当キモい!
徳山は梨花をたしなめつつ、今後は事前に声をかけて欲しいとやんわり注意してきた。
植草まさし
(あぶねえ。あぶねえ。俺のミラーマンと呼ばれた腕もなまったかな?
まあいい。今日はこれ以上近づくのは危なそうだな。お宝もバッチリ撮れたんじゃねえか
—–
撮影終了後、帰宅した植草はお宝映像の確認をする。
今度こそ生パンを履いてることを願って、盗撮映像の再生ボタンを押した。
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