高級ホテルのプールサイド。赤みがかった水着姿のレオナが、由美子と談笑している。レオナの手には、特製のスペシャルドリンク。
西園寺レオナ
由美子さん、このカクテル、面白い香りがするわ。ノンアルコールビールをベースにしているのに、何か特殊な香り付けをしているみたい
堂島由美子
そうですね。とても珍しい香りです
今日は、仕事も控えているので、アルコールは控えている。
その時、レオナは不自然な動きをする男性従業員に気づく。彼女は優雅に立ち上がり、その男性に近づいていく。
西園寺レオナ
あなた、『キャッチアイ』のマリアのことを知らないの?
従業員は一瞬困惑した表情を浮かべる。
従業員「え???マリア…ですか?」
レオナは微笑みながら、さらに近づく。
西園寺レオナ
私が本物のマリアだったら、とっくにあなたは捕まってるということよ
「捕まる」という言葉に身に覚えがあるのか、男は急に慌てだし、あわてて逃げ去ってしまう。
由美子が駆け寄ってくる。
堂島由美子
レオナ様、今の男性は…?
レオナは由美子に向き直り、小声で話す。
西園寺レオナ
由美子さん、あの男、怪しかったわ。おそらく盗撮をしていたのよ。近づいてきたのは、会話の音声も必要だったからだと思う
堂島由美子
えっ?でも、なぜそれが…
西園寺レオナ
もし私のストーカーやファンだったら、セクシーで人気の『キャッチアイ』の主人公を知らないわけないから。彼は明らかに知らなかったわ
レオナは慎重に周りを見回す。
西園寺レオナ
これは勘だけど、ガレンが何か探りを入れに来たのだと思う。それか、また弱みをつかもうとしてるのかもしれない
ガレンの名前が出たことに、由美子は驚きの表情を浮かべる。
堂島由美子
そんな…どうすれば…
レオナは冷静に答える。
西園寺レオナ
まずはホテルのセキュリティに連絡を。防犯カメラの映像も確認しておきましょう
由美子がセキュリティを呼びに行く間、レオナは優雅に、しかし警戒を緩めることなくプールサイドを歩く。
西園寺レオナ
(ガレン…もう私は昔とは違うわ)
レオナの表情には、決意の色が浮かんでいた。カクテルを持つ手が少し震えている。
堂島由美子
レオナ様?大丈夫ですか?
西園寺レオナ
こちらも急いで、例の作戦を進めないといけないわね
レオナの頭には、徳山ディレクターの顔が思い浮かんでいたのだった。